視覚障害のある方へのAT/AACその3 [e-AT・AAC(試験対策)]
今回は前回に引続き全盲の方への支援機器を紹介している.ではでは…
- 読むことに関する支援技術(音声で読み上げる場合)
- 録音図書
本の読み上げをCDやテープに録音したものであり,デイジー(DAISY)という規格にあった録音図書の場合,パソコンや専用の機器で再生ができるもの.デイジーはDigital Accessible Information SYstemの略で目次から目的のページに飛ぶことや頭出しが可能などいろいろな機能を有する規格である. - 電子図書
パソコンや専用機で読めるように電子化されたものであり,PDFやe-BOOK,Expanded bookなどの規格で配布される.これを音声化ソフトウェアを組合わせて読み上げることができる場合がある. - OCR
Optical Charactor Readerの略で印刷物をスキャナでパソコンに取り込み文字認識させるもの.認識させた文章を音声化ソフトウェアで読み上げることができる場合がある.また,OCRと音声読書器を組合わせた専用機(音声読書器)もある.なお「視覚障害者用活字文書読上げ装置」の項目で日常生活用具の給付対象品目となっている.
音声での読み上げに関する機器は下記サイトをご参照下さい.
- 録音図書
- 読むことに関する支援技術(触読する場合)
- 点字ディスプレイ
テキストデータをパソコンに取り込み点字ディスプレイに出力する方法. - 点字図書
点字図書館などにある点字化された本・新聞を利用する.なお「ないーぶネット」により全国の点字・録音図書の検索が可能.また「点字図書」の項目で日常生活用具の給付対象品目となっている. - 立体コピー
コピーすると黒色の部分を発泡剤により立体的に浮き上がる機器で,イラストや図表の確認に使用する. - オプタコン(Optacon)
OPTtical TACtile CONverterの略で小型カメラで撮影ものをピンの振動に変えて指先で読む装置.スタンフォード大学で開発され米TSI社から販売されていたが,現在日本では販売されていない.
触読に冠する機器は下記サイトをご参照下さい.
- 点字ディスプレイ
- 書くことに関する支援技術(点字で文書を書く場合)
- 点字器
1点づつ点を手で打つ機器.携帯型と普通型がある. - 点字タイプライター
大量に文章を打つには良いが,非常に重い.なお「点字タイプライター」の項目で日常生活用具の給付対象品目となっている. - 点字プリンタ・点字ディスプレイ
パソコンで文書を作成し,点字プリンタ・点字ディスプレイに出力する方法.
- 点字器
- メモを取るための支援技術
- レコーダー
市販のICレコーダーやカセットテープ・MDレコーダーを使用する方法.なお「視覚障害者用ポータブルレコーダー」の項目で日常生活用具の給付対象品目となっている. - 視覚障害者用電子手帳
点字キーボード・ディスプレイを備えた携帯型の機器のこと.
メモを取るための支援技術については下記サイトをご参照下さい.
- レコーダー
- 視覚障害者用ソフトウェア
一般ソフトウェアより機能を少なく単純化し操作性を向上させたもの.全ての機能に音声ガイドがついている.
- 移動ための支援技術
- 白杖
視覚に障害のある人が持って歩く杖.全盲の方だけが使っているわけではない.白杖は次のような使用方法がある.- タッチテクニック
体の中心付近で体から3~40cm離したい位置で杖を持っていき,杖を高く上げすぎず左右にリズムよく振る方法で.歩行していく先の障害物を見つけるのに有効. - スライドテクニック
振り幅やリズムを変えず杖先を地面につけて滑らせる方法.段差や階段を見つけるのに有効. - ショアラインテクニック
壁や点字ブロックに杖を当を当てながら移動する方法.角やドアを見つめるのに有効. - タッチ&ドラッグ
溝や歩行の縁石を歩くときに段差の下側を叩きながら歩く方法.落ちるのを回避するのに有効.
- タッチテクニック
- 盲導犬
主人の命令に従い道の端を歩くこと,交差点の角で止まること,障害物を避けることを訓練された犬のこと.特定の場所まで誘導するものではないことに注意が必要.
(競馬好き筆者のおまけ:ちなみに大型犬程度の大きさのミニチュアホースに同様の訓練をした「盲動馬」もわずかだが存在する.「馬の方が寿命が長いのでパートナーでいることのできる時間が長い」「馬はもともと臆病な動物であるので危険と感じたら必ず止まる」ことが利点らしい.ただ問題は小さくても馬なので飼うのに費用がかかりすぎることだそうな
8月22日追加…先日梅田の某書店にて盲導馬に関する本を見つけたので紹介しておく.
「盲導馬をよろしく」佐々木 祥恵・望月 ひろみ著) - 障害物検出装置
超音波を使って.音や振動で障害の存在を知らせる機器であり,めがね型,ボックス型,白杖埋め込み型のものがある. - 音声方位磁石
方位を音声で知らせる機器であり,今後はナビゲーションシステムをして発展していくと考えられる機器. - 音声ガイドシステム
位置などの情報を音声で知らせる機器.「ガイドシステムの送信機を持った人が来ると自動的に音声が流れるもの」「送信機に情報を入力しておいて携帯用受信機が送信機からの情報を聞けるもの」「地中の磁気センサーが白杖に付けた磁石を感知して音声で情報を知らせるもの」などがある.
音声ガイドシステムには下記サイトをご参照下さい.
- 白杖
- その他の支援機器
- 時計…読み上げ式のものと触読式ものがある.なお「盲人用時計」の項目で日常生活用具の給付対象品目となっている.
- 電卓…結果を読み上げる.
- 色…センサーをあて色を読み上げる.
- 水量…規定の水量になると知らせる.
- 明かり…暗くなると自動的に電気を点ける.
- その他日常生活用具の給付対象品目となっているもの
電磁調理器,盲人用音声式体温計,盲人用体重計
その他の支援機器については共用品のものもあるので,検索サイトなどで調べてみて欲しい.
視覚障害についてはここまでで.次回からは知的障害に入りたいと思う.
参考文献・サイト- 福祉情報技術 II 生活を支援する技術編
e-AT利用促進協会 監修 - 福祉情報技術 I 障害とテクノロジー編
e-AT利用促進協会 監修 - 福祉情報技術コーディネーター認定試験
e-AT利用促進協会 監修 - アダプティブテクノロジー ~コンピュータによる障害者支援技術~
ジョゼフ・ラザーロ 著/安村通晃 監訳/島原信一・中村美代子・石田直子 訳 - こころWeb
こころリソースブック編集会
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