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「アーチスト」と「エンターテイナー」 [コラム・小説・詩]

久々に「アート」「エンターテイメント」関連のネタで文章を書く気になりました.実は私の先輩が会社を辞めて,ちょっと遠いところに行かれるらしいからなんですな.この先輩にはホントお世話になりました.会社では恥ずかしくていえないけれど,あえてこのような形でお礼を言わせて頂きます.ありがとうございました.私のやりたかったことを仕事にしていた人だったし,一緒にセッションをしてドラムを叩かせていただいたり,楽しい2年間でした.

さて,この先輩と同行で営業をやっていたときに交わした会話,それが今回のコラムで書こうと思っていることです.それは「アーチスト」と「エンターテイナー」の違いについてということなんです.先輩は自分で曲を書くし,ギターもはっきり言ってめちゃ巧い.自分はあくまで「アーチスト」だと言う,そんな方です.ホントはプロの道も目指したらしいことをそっと告白してくれたのですが,あくまで「社会人」として自分を見つめて音楽活動を続けようと思ったそうです(この人,実は映画も詳しくて自主制作映画を作ったかなりのツワモノであります).

そのとき私が言ったのは「私はできるなら『アーチスト』より『エンターテイナー』になりたいです」ということでした.芝居は下手,ドラム叩くとドカドカうるさいだけ,小説や詩を書いてもまるで散文のこの私がこのようなことをのたまってしまったわけです.はっきり言うと笑うしかない状況ではありますが,この気持ちは今でも持っていますよ,私は.

私が思うに「アーチスト」と「エンターテイナー」の違いはベクトル向きの違いだと思うのですね.基本的に「アーチスト」は自分を表現するってことであって,あくまでその方向は自分自身の内側に向いています.もちろん,その方向は人によって様々ですので,たまたま時流と表現したいことがぴったりはまってしまったとき,それが「アーチスト」であり「エンターテイナー」であると言える状況かもしれない.もしかしたらそんな瞬間がありきたりな言葉でいうと「カリスマ」が誕生するときなのかな,そんな気がします.

一方,「エンターテイナー」の向かう方向はあくまで外向きでなくてはならない.人を楽しませることが出来なきゃいかんのです.某演歌歌手の「お客様は神様です」という台詞,これが「エンターテイナー」のあるべき姿だと思うのです.で,私が笑っちゃうことにこれになりたいと思ってるわけ,無いものねだりかな:),まさしく.でも,人形劇やってたころから自分の目指してきたことは,あくまで「エンターテイナー」でありたいってことだけは確かなんですよ.人形劇の脚本書いたときだって自分のメッセージをなんとか織り込みながら,あくまで観に来た子どもたちに楽しんでもらうか,そればかりを考えて書いたことを思い出します.

で,この考え方から行くとやっぱり先輩は「アーチスト」だったのかな,と思うわけです.実際に先輩の曲とか演奏とか聴いてるとそんな気がします.自分を見つめるってのは楽に見えて結構苦しいもんです.それを突き詰めて鬱になったこの私が言うのだから間違いは無いです:).そこでたまったパワーを曲にしてたんだなぁ,と今更ながら感じております.

ここからが実は書きながら考えたことなんですが,先ほど書いた「カリスマ」の誕生する瞬間のお話.これってかなり残酷なことやなぁ,と感じました.だって,これじゃ逃げ場所というか安らぎの場所というか,そんなものが全くなくなってしまう状況じゃないですか.だからこそ「カリスマ」と呼ばれる人達は夭逝してしまう人が多いのかな,そんなことを考えたのでした.


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