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私の好きな映画たち [映画]

ぼくはえいががだいすきです.とくににほんえいががだいすきです.なんか,まわりのみんなは,にほんえいがっておもしろくないじゃん,なんていうやつがいっぱいいるんだけど,それって,ほんとにおもしろいえいがをみてないんじゃないのかな,ってぼくはおもいます.にほんえいがってとらさんやつりばかにっしだけじゃないんだよ.

失礼,さっきETVみてたらダニエル・キイスが出てたもんで「アルジャーノンに花束を」風に書いてみたけど,これ読みにくいなぁ.真面目に書こう.大学に入ったころから,私はまわりの友人に「日本映画って面白いよ」ってなことを言ってまわった訳ですよ.でも,みんなは分かってくれない.まぁ,そうだよな.日本映画って興行システムに結構問題あると思うわ.日本映画って海外で何かの形で評価されない限り,全国で公開される映画って限られてるもんね.本当に面白い映画って単館ロードショーだったり,3大都市のみロードショーみたいなことが多いもんなぁ.こういう点では4月から大阪で生活するのは結構楽しみだったりするんです.

大学に入った当時みんなに薦めた映画ってのが,「薄れゆく記憶のなかで」っていう映画なんですが,皆さん,知ってます?恐らくは単館でのロードショーだったんじゃないかなぁ.私もビデオで観たんですが,観音寺と徳島でたくさんのビデオ屋さんに行ったけど,レンタルしてたのは観音寺の1軒だけでした.しか~も,そのビデオ屋さん,こないだ実家に帰ったとき前を通ったらつぶれてました.青春のほろ苦さととり返しのつかないことをしてしまった男の辛さを描いた名作なんですけどねぇ.ちなみにこの映画でデビューしたのが,「ふたりっ子」のお姉ちゃん役の菊池麻衣子とドラマなんかでも活躍している堀真樹だったりするんですね,これが.ほんま名作だからもしレンタルしてたら借りちゃって観ちゃって下さい.絶対,損はしないです.

さて,そんな日本映画.最近でこそ海外で評価されることが多かったり,若手がどんどん台頭してきているという状況でありますが,日本映画冬の時代(具体的には'80年代)のころから,多くの固定ファンを持っていた2人の監督がおりました.ま,私もそんなファンの1人なんでありますが,その監督こそが大林宣彦監督相米慎二監督なんであります.この2人,似ているところも多いんですが,そういうところをみていくと結構面白かったりします.

似ている点!その1,当りはずれが馬鹿でかい,しかもその一般的には「はずれ」の映画でもその監督の作品であることが感じ取られ,そこが憎めない点であり,次につながると思わせてくれるところ.メジャーの世界にありながらカルト的な楽しみ方ができるってことですね.こういった感覚で観ることのできる映画ってのは,大林監督であれば「日本殉情伝 おかしなふたり ものくるほしきひとびとの群れ」,「SADA」といったところであり,相米監督であれば「ションベン・ライダー」,「光る女」といったところかな(私は好きですけど,大方一般受けはしないわな,この映画達).

その2,そういったカルト的な楽しみができる監督ってのは,メジャーに背を向けて「やっぱインディで撮るのががいいじゃん」ってな状態に陥ることが多いけど,決してそういう状態になることなく,メジャーなフィールドでの作品作りをしているという点.日本映画のメジャー,インディの2極化ってこういうところにも原因があると思うし,お互いの距離が離れた結果「日本映画,つまらねぇ」って状態ができたことは否定できないでしょう.さて,私がそんなことを感じるのは,この2人の監督が'80年代を象徴する「角川映画」の代表作を作ってるってことからなんですね.大林監督は「時をかける少女」をはじめ「ねらわれた学園」「天国にいちばん近い島」「彼のオートバイ,彼女の島」などなど.相米監督はあの「セーラー服と機関銃」を作ってますね.'80年代,映画ファンから揶揄されながら,メディアミックス戦略を駆使しつつ映画の出来に関係なく,非常に高い興行成績を記録してきた「角川映画」.中には光る作品もあるんだけど,駄作も多かったすよね.そんな角川映画の代表作をこの2人の監督が作ってるってのは何か象徴的です.他にも大林監督だとフジテレビと組んで「水の旅人 侍KIDS」を撮ってみたり,相米監督だと読売テレビと組んで名作「お引越し」「夏の庭 The Friends」を撮ってますね.

その3,アイドル女優を輝かせるのが上手い.しかも,女優として大成するケースが多い.大林監督の映画を経験した女優っていうと,小林聡美(「転校生」「廃市」),原田知世(「時をかける少女」「天国に一番近い島」),富田靖子(「さびしんぼう」「姉妹坂」),石田ひかり(「ふたり」「はるか、ノスタルジィ」)といったところ(他にもいっぱいいるんだけど).相米監督だと,薬師丸ひろ子(「翔んだカップル」「セーラー服と機関銃」あっ,大林監督の「ねらわれた学園」にも出てたなぁ),河合美智子(「ションベン・ライダー」),工藤夕貴(「 台風クラブ」),斉藤由貴(「雪の断章 -情熱-」),牧瀬里穂(「東京上空いらっしゃいませ」)ってなかんじです.どちらの監督も結構アイドル女優にとっては厳しい注文をするから成長するんだろうなぁ,なんてことも考えるし,やっぱり見る目もあるんやろなぁ,と思う訳です.

その4,何かがぶっ飛んでいる.大林監督の場合,サービス過剰な演出(「青春デンデケデケデケ」「HOUSE ハウス」「ねらわれた学園」),やたら細かいカット(「青春デンデケデケデケ」「女ざかり」),コマ落し(「おかしなふたり」「SADA」),オプティカル合成(これはいっぱいあるな),ハイビジョン合成(「ふたり」),フレームの中のフレーム(いっぱいあるけど「転校生」のラストは秀逸!),オープニングの「A MOVIE」(これもいっぱい),モノクロ,カラーの混在(これも多いね)照明を控えて意図的に台詞も聞き取りにくい(「北京的西瓜」「女ざかり」)なんかかな.でもこういうのばかりじゃなくて「廃市」みたいな作品もあるんだよなぁ.こういう風に裏切られるのも気持ちいいんだよね.相米監督の場合,最近は減ったけど強烈な,手段が目的と化してしまったかのような長回し撮影(「ションベン・ライダー」のオープニング7分,エンディング10分は必見!!「台風クラブ」の体育館での“演劇部最後の公演”シーンもGOOD!),ビデオで観ると誰が誰だか分からない,引きに引いた長ロングショットで作られた構図(「ションベン・ライダー」の“デブナガ”を探す決心をするシーン,「セーラー服と機関銃」の最後の方の屋上のシーン)何がなんだか分からないモノたち(しつこいようだけど「ションベン・ライダー」に顕著,「台風クラブ」のオカリナ吹きも不気味,我らが武藤敬司主演の「光る女」のクラブのシーンもすごいよね)で,こんなことばかりやってた相米監督が'90年代にシェイプアップした形,というか非常に見やすい形で戻ってきたとき(「東京上空いらっしゃいませ」)はよかったんだろうか,と悩んだものでしたが, それ以降2本の名作「お引越し」,「夏の庭」を残しているのを観ると正解だったんですな.やっぱり,こういう風に裏切られるのも気持ちいいんだよね.

ちょっと長くなりすぎちゃいましたね.じゃ最後に2人の監督の作品のうち私の好きな作品(ベスト1)を挙げておきましょうね.

大林監督,表のベスト1は「さびしんぼう」,裏のベスト1は「おかしなふたり」,真のベスト1は「廃市」でしょう.「青春デンデケデケデケ」は番外です(だって私の母校が舞台だもん,冷静に評価できんって,でもとってもいい映画だよ).この3本を観ると大林監督の懐の深さが分かりますよ(よく世間で言われる「甘ったるい少女漫画みたいな作品ばかり撮る監督」っていう印象は薄れると思いますな).大林監督,新尾道3部作の完結編の完成を心待ちにしております,がんばって下さい('99年中には観れるかな?).

相米監督,表のベスト1は「台風クラブ」,裏のベスト1は「ションベン・ライダー」,真のベスト1は「お引越し」ですね.この3本を観ると,このおっさんなに考えとんやろ,と思うでしょう.ま,観るものの感性が試される作品ですし,本人も「観る人に任せます」ってスタンスだから,それでいいと思います.相米監督,「あ,春」,完成おめでとうございます.実に4年ぶり(になるのかな)の新作ですね.私の住む徳島では公開してません.またビデオかなぁ…これからもがんばって下さいね.


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