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映画「インストール」観賞記 [映画]

WOWOWで放映された片岡K監督・上戸彩主演の映画「インストール」のビデオを流しながら観た.片岡Kが演出したTVの作品で私がお気に入りなのは,1994年にフジテレビ系深夜にやっていた「文學ト云フ事」.文学作品を取り上げ,ドラマや映画のように文学作品の予告編をつくるという番組.緒川たまきが出てた会(どの会か思い出せんのだが…)が印象に残っておりましてね.あのトリビアの「うそつき」のスケッチを見ると少しだけこの番組を思い出したりすることもあり,という感じ.

一番お気に入りなのは1997年にテレビ朝日系深夜に放映したちょっと変わったドラマ「いとしの未来ちゃん」かな.ちょっと近未来にに実現するであろうファクターを使ったドラマ.最初にドラマの舞台の未来の姉妹が現れ「こんなものがあったんだって」と昔話形式ではじまり,最後は「そんなものなかった方がよかったでしょう」ってオチになるのな.すぐに思い出せるのは超々高層マンションの回と宇宙旅行の回かな,非常にシニカルな笑いを含んだ,黒くはないけどグレーなドラマだった印象がある.

この「インストール」,面白いと思ったのは「いとしの未来ちゃん」との視線の違いだな.なんかすごい不思議に感じた.不思議な映像感覚は単なる映像的・ストーリー的なトリックでありあまり大きな意味を感じることは出来なかった.ただ,観終わったときに感覚が「それならそれなりに生きていきゃあいいじゃん」というビミョーな感じに前に向きつつあるような感じで.シニカルな笑いは相変わらずだけど,作品自体から感じる色はなぁ白に限りなく近いグレーという感じで.

多分,片岡Kという人自体が「いとしの未来ちゃん」を作っている頃も「インストール」を製作した今でも現状や未来に対し,大きな期待も抱かず決して現状にも満足していないんだけども,その中で生きているときに感じたものをまとめて作品にしているんじゃないの,だから視点が微妙に変わったりするのでは,なんて感じた.私自身,あまり過去のことをあの頃は良かったなんて思いたくないし,でも決して現状には満足していない.安易に未来の自分が幸せだなんて考えてもいないのでこのような感想をもってしまうのではないかなぁ,とは思う.

例によって内容には触れない.理由はあるけど,まいいや.興味を持ったら観て欲しい.あ,あと一応この作品直接的な性描写はないけど,キワドめの台詞が多いためPG-12となっているのでご注意を.

こんな感じかな.


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お馬さんの映画 [映画]

昨日に続き映画ネタで.

10月30日まで開催されていた第18回東京国際映画祭のコンペティション部門の最高賞・東京サクラグランプリを獲得したのは根岸吉太郎監督・佐藤浩市主演の「雪に願うこと」.ちなみに東京国際映画祭の第1回開催が1985年でこのときの最高賞・ヤングシネマ大賞を獲得したのが,今は亡き相米慎二監督の「台風クラブ」.実に20年ぶりに日本映画が最高賞を受賞したことになるわけだ.相米監督と縁のある佐藤浩市が主演男優賞を獲得しているのも何かを感じてしまうところである.

 東京国際映画祭

映画が公開前で,当然私は未見であるので感想を書くことは出来ないのだが,この「雪に願うこと」はばんえい競馬の厩舎が舞台となっていることに非常に興味をそそられる.そういえば今年の初頭,NAR(地方競馬全国協会)のサイトやばんえい競馬のサイトでエキストラ募集や撮影日記が掲載されていたなぁ,ということをフト思い出した.

ここで,ばんえい競馬をご存知無い方のために補足.ばんえい競馬は北海道で開催されている競馬であり,出走する馬はサラブレッドやアラブ系の馬ではなく,体重が1トンもある重馬種と呼ばれる馬たち.出走馬は500kg~1トンの錘と騎手の乗ったソリを挽くのである.2つの坂路障害のある200mの直線走路で争われるレースは迫力満点!一番の難所,第2障害に挑む姿は,観ている方も力が入る.元々,北海道開拓時代にはじまった競技であり,世界で見ることができるのは北海道の4つの競馬場のみ.「北海道遺産」にもなっている貴重な競馬である.詳細は下のばんえい競馬のサイトで確認してみて欲しい(動画アリ).私自身北海道には一度しか行ったことが無いし,当時は競馬にも興味なかったからばんえい競馬を生でみたことは無いが,是非とも一度は見に行きたいものである.

 ばんえい競馬

競馬を題材にしてヒットした映画といって思いつくのは「シービスケット」くらいかな.「優駿 ORACION」は微妙…テーマ曲はスマッシュヒットしたけど.「映画ハルウララ」は諸般の事情により全国公開が困難な状況だし,つか,ハルウララ自体がもはや忘れ去られた感が拭えないからなぁ.結構いい映画「らしい」というのは,高知の人のサイトで確認したんだけんども(註:「映画ハルウララ」は高知県では先行公開済).

う~ん,なんか少ないな,どれも若干長尺気味な映画だし….だれか「競馬」が舞台になったもので面白い映画があったら紹介して欲しい.頼む.とりあえず「雪に願うこと」スタッフ・キャストの皆さん,おめでとう.公開したら観に行こうっと.

こんなところで.

追記1:
あくまで「競馬」が舞台であって,「馬券もの」の映画では無いよ.そこ要注意ね.

追記2:
東京国際映画祭の特別賞を「スキージャンプ・ペア ~Road to Torino 2006~」が受賞しているのがなんだか微笑ましくてよいですね.

追記3:
そういえば徳島にいた頃,地元劇団が「競走馬の出ない競馬の芝居」をしていたなぁ.あれはサイレンススズカを意識したのかなぁ.いや時期的にはライスシャワーかな?こんな芝居も面白いよね.


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映画「下妻物語」観賞記 [映画]

WOWOWに加入してから放送される映画・演劇・音楽番組を細かくチェックし録画しているため,観ることが出来ていない番組が多数.諸般の事情で時間はあるはずなんだが,映画にしろ演劇にしろ途中で邪魔が入るとイヤだし,休みがないことが多いし….あの「キレイ」の放送時は3時間半弱の時間で,公演では当然二幕,間に10分の休憩があったのに,一気に放送しちゃうんだもんなぁ.そうなると1幕と2幕との間が30秒も無いわけで,一幕の余韻に浸りつつ二幕に突入するという,あの感覚が無いんだよなぁ.テレビだからしゃーないわけだけど.

ということで当然,映画もかなりたまってきている.とりあえず今日観つつダビングしたのが,昨年公開された映画「下妻物語」.劇場に観に行きたかったが見逃した作品.評判は耳に入っていたのでDVDを買う手もあったのだが,さすがにリスキーだしね.ちょうど放送があったので録画した次第.ちなみにこの作品,主演が深田恭子,メインの助演が土屋アンナ,監督が中島哲也の日本映画ね.

いやぁ,面白かった.評判では「女性の友情が描けている」というのを多く目にしていたが,納得.「女性の友情」というと脱獄した囚人4人組ロックバンドを描いたドイツ映画の「バンディッツ」(同名映画がありややこしい…)があるが,それとは方向性が全く違う感じ.「バンディッツ」は同じ目標に向かっていく感じだけど,「下妻物語」は価値観がまるで異なる2人を描いているわけね.つか,この2つの映画を比較しても何のメリットも無いことに書きながら気づいた….

正直自分は男なので,女の気持ちは分からん.あくまで偏見だが私情念深いとかいろいろあるのかも知れないけど.主人公2人の相手に対するスタンス,考え方,そういったものが短時間に微妙に細か~く揺れ動くので,決して単純な映画ではないのだけれど,映像のリズム感が多分そう感じさせてくれるのだろう,「単純に面白かった」.

特に映画のはじまりから主人公2人が出会うまでの,カット割りは細かいのに妙に冗長感の漂う,なんというか,その,スピード感はあるのにのんびりしてるって感じ?あれは絶妙だと思った.あそこで引き込まれて一気に100分,釘付けである.ストーリーに挟まるアニメも「ラン・ローラ・ラン」(おぉこれも録画してるぞ!)ぽくて勢いがあり楽しかった.「伝説」の下りも微妙にトリック,というかフックが仕掛けてあり面白さ増量って感じ?

あ~,私のサイト「ひとりごと」の映画の感想には「私にはストーリーを語ることのできる文章力は無いので,皆さん自分で観て評価して欲しい」と断りを入れていたが,blogでもそうさせて頂きたい.ということで皆様,自分で観て評価して欲しい.

では~.


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TAKE THE A TRAIN ~「SWING GIRLS」雑感~ [映画]

映画観に行かなぁ,芝居に行かなぁ,といいつつ映画1本,芝居2本という有様の2004年だったが,ホント久々,秋に来てようやく映画行きました.友人と行ったのは公開3週めの話題作「SWING GIRLS」.最近はキタの映画館に行くことが少なく高槻のシネコンでの鑑賞でございました.

この作品,フジテレビが製作に入ってるだけあってもの凄いプッシュがあるけど,ここんとこTVを観ることが少なくて「メディア方面」の先入観はなく観ることができ非常に有意義でございました.あっ!一回だけテレビ番組の宣伝みたわ…たしか,早朝の朝日放送の番組みたか….フジテレビ製作なのに朝日放送?…特に深い意味はございません.

では,本題.

いやぁ,良かった.例によって内容は書かんのですが,エンドロールで泣いたのは久々だったなぁ.矢口監督,メジャーデビュー作の「裸足のピクニック」からマイベストの「ひみつの花園」,OMSで観た「アドレナリンドライブ」,女の子に囲まれながら立ち見で観た「ウォーターボーイズ」と追いかけてきたけど,この作品が一番良かった!

あえて本作の売りとなっていて,かつ自分自身も大好きな設定である「高校生のビッグバンド」の部分をスルーして,どの辺りが気に入ったかを書いてみますね.自分の感動したポイントと,この作品の売りのところは多分おんなじなんだけど,もう既にいろいろなところで語り尽くされている感がありますしね.

1つめ.「裸足…」~「WB」に至る間にだんだん減ってきていた,矢口監督のいい意味での「バカバカしさ」がかな~り復活してたトコロ.松茸・スーパー・自転車の各シーンは良いね.松茸のシーンのあの選曲は好きですよ,そうか,あのシーンにサッチモですか….音楽の使い方,うまいよ.「先生死んだんか」の下りも笑えたな.あ,作品前半の主人公の暴走振りはある意味「ひみつ…」の主人公よりも強烈だったかも….

2つめ.ビッグバンドつーのがこの作品のキモなんだけど,ジャズじゃなくってロック好きにとって「ニヤリ」としたくなるシーンがいくつかあったこと.横断歩道の「これってジャズ」のところと屋上の演奏シーン.これは超有名な世界的ロックバンド(名前を出すのも憚られるな)のアルバムジャケットからの引用だよなぁ….たまらんですな.

3つめ.バイプレイヤーの充実ぶり.矢口監督作品の常連もいたし,演劇界からの起用が多いつうのは私的にはツボですね.ごく最近の舞台人もいるし,80年代の小劇場ブームを引っ張ってきた功労者も多数.あえて小日向氏を音楽の部分にからめない,というところにものすんごい贅沢さというかもったいなさを感じてしまうのは演劇マニアの性なのか….細かいところでガードを固めてるからメインキャストが輝いてるんだろうなぁ,多分.

…と,まぁこのようなところが「私的な面白さ」だったかな.あえて他の映画を出して例えると,「がんばっていきまっしょい」と「青春デンデケデケデケ」の良い部分を足して,そこに矢口テイストが加わったって感じでしょうか?巷で言われている「WB」の二番煎じとは思わなかった.むしろ拡大している感じを受けましたです.

こんなところなんですが,今日見た状況とは別の劇場(梅田では大劇場で拡大公開してるらしいし)で観たいな,なんてリピーターになるかも,そんな作品でした.


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徳島県ロケーション・サービス [映画]

先日の日記の中で「香川フィルムコミッション」をご紹介した.今日UDONER氏と一緒にテレビを観ていて,フト「中谷美紀のお茶のCMって徳島でロケされたらしいで」との情報をゲット.ここで私がするべきことはというと,徳島で同様の団体を探すことに他ならない.早速検索,30秒で発見!

徳島県ロケーション・サービス

まーやってることはあんまり変わってないんだけれども,一回映画の撮影現場って見てみたいじゃん(ホントは劇団「徳島」で一回映画に出てるんだけどね).だから,ボランティア・エキストラんとこに応募してみました.ま,なかなか都合はつかないでしょうが.

ちなみにあのお茶のCM,穴吹川で撮影されとるんじょ.しかも吉野川との合流地点付近らしい.恐るべし!徳島の清流.てなとこで.


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香川フィルムコミッション [映画]

じめじめしてて蒸し暑い.あー,連休なのにちょいとテンション低.火曜日は日帰りで車で出張かぁ….外に出るのは楽しいんだけど,広島へ日帰りはともかく「車で」出張ちゅうのはどうかなぁ….セミナー自体は準備完了だからいいんだけどね.

そういえばGWに実家に帰ったときにTさんやAさんとホント久しぶり(ていうか初めてじゃないかな)観音寺の町を歩いたのさ.そんときにフトしたことで「青春デンデケデケデケ」の話になったのね.なんかこう観音寺の駅前も風景変わってきたなぁと思いつつ(相変わらずの田舎の駅で電車の発車ベルも鳴らない駅ですがね,特急止まるのに).だらToshiさんが「また観一(私とToshiさんの母校ね)の旧体育館が映画のロケに使われた」みたいなこと言ったのよ.確かにえらい風情のある建物なんですけどね.私,最近観音寺が映画のシーンで使われたのって「Dolls」(有明浜)くらいかなぁ,と思ってたからちょっとびっくりしたのよ.

で,坂口憲二と堺正章が出てたって言ってたから,何故か今日ググってみたら見つかったのがこのページ.もちろん件の映画も紹介されてるんですが,ちょっと面白かったので勝手リンクしてみましょう!

香川フィルムコミッション

映画好きなんでやりたいことは分かる.存在意義も分かる.ギョーカイ関係者も地元ミーハーも楽しめるサイトなんですな.しかしあの「シベ超」の3のロケが香川であったのかぁ……遺憾,言葉が出て来ねーよ.

地元人,元地元人が楽しめるのが「オンラインロケハン」のコーナー.「あーあるあるあの風景」とか「えっ,こんなトコあったの?」とかいろいろなところが掲載されている.私ゃ財田川河口がキレイだなぁ,と思って実は実家に帰るたびにちょっと車を走らせて物思いにふけることがあるのね.紹介されている写真を見ると確かに絵になるよね.なんかうれしい.

ちなみに同コーナーでは検索も可能.べん~り.でもさぁ,香川にロケに来るのに「イメージで選ぶ」で「都会的」「雄大」は…やっぱり有り得ないよなぁ.


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台風の日に逝ってしまった映画監督のお話 [映画]

私には敬愛してやまない二人の映画監督がいる.一人は大林宣彦監督であり,もう一人が相米慎二監督である

今日の昼休み,いつもの社員食堂で「台風来ないかな?」と思いながらNHKのニュースを見ていたら,そのニュースの後に流れたのが相米監督の訃報であった.「台風クラブ」という名作を世に送り出した監督が台風が上陸しようか,という日に旅立ってしまったというのも偶然とはいえ何か不思議なものである.そして,ショックを感じながら,改めて相米監督の大きさというか,偉大さというかそういうなものをふと感じた.

私が相米ワールドに飛び込んだのは小学校6年のとき.作品は今にして考えると「ゴールデン洋画劇場」という何とも場違い(失礼)な枠で放映された「台風クラブ」であった.今でもガキな私だが,当時はさらにターボが掛ったガキであったため,ひたすら意味の分からない映画だったんだけど,なぜか心に突き刺さる作品だった.そうか,あのときはまだ健在だった親父も一緒に映画を観ていて理解できん,なんて言っていたんだったかなぁ,確か.

自主制作映画というものに触れて,自分でも作れたらなぁと夢見ていた中学時代,ひたすら田舎だった観音寺にやっとまともなレンタルビデオ屋ができた中学時代,そんな中学時代に改めて観た「台風クラブ」で私は一気に相米ワールドの虜となってしまった.高校受験を控えて自分自身が欲求不満がたまりにたまっていたときまさにそれを表現していたのが「台風クラブ」そのものであったと思う.言ってみりゃThe Whoがイギリスのガキの欲求不満の捌け口になっていたのと同様に,「台風クラブ」はまさに「Whoのやりたかったこと」のひとつを映像として具体化したものだろうと個人的に感じる.

つまるところ「台風クラブ」は決して不満を「癒す」のではなく,逆に「現実を衝き付ける」という方法論で撮られた映画なのである.「台風来ないかな」と少女が言ってその少女は東京で男にナンパされ部屋に連れ込まれそこから逃げる,そして台風によって帰るための電車が無いという事実にぶち当たってしまう,台風が来て校舎に取り残されてしまった少年少女達はそこで一夜を明かす.しかし翌朝,一人の少年の飛び降り自殺により現実に引き戻される.結局,あの台風の中の校舎の閉鎖空間に取り残されたものも,取り残されなかったものも現実に打ちのめされてしまうのである.

私自身,今でも「台風クラブ」のことは大好きだし,特に80年代のガキを描いた相米作品は大好きである.実は一番好きなのは,如何にも相米フリークらしく「ションベン・ライダー」なのだが,今日は台風の日である.他の作品のことを書くのも不粋というものかなと思う.中途半端な気もするけど「台風クラブ」のお話だけで終わろう….

相米慎二監督,享年53歳,只々冥福を祈りたい.


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幸せな最期(映画「ワンダフルライフ」雑感) [映画]

今回は日本映画「ワンダフルライフ」の感想を書かせていただきます.

この作品,本当は一昨年映画館で観ようと思ったのですが,観るのを忘れてしまって,去年の夏休みにビデオで観ました.説明力不足の文章ながら簡単に内容を書きますと,
「あなたは死んでしまった.ここは死んだ人間の来る施設.あなたは1週間の間に『一生のうちで自分の最も印象に残った思い出』を選んで,そのシーンを映画で再現して,その思い出だけを胸に天国に旅立ちます.」
という舞台で繰り広げられる人間模様を描いた作品と書いたら良いのかなぁ…

これだけを書くと現実性の無さそうな単なるファンタジー映画に思えるでしょ.でも違うんだなぁ.この映画の面白いところは実際に何百人もの人に「一生のうちで自分の最も楽しかった思い出」をアンケートしてまわって,その中の十何人かは映画に出演もしているということに尽きるでしょう.ある意味「ドキュメンタリー」であるし,それに「ファンタジー」なストーリーもついてくるっていうお得な映画です:).

正直いうと「ファンタジー」的な部分,ストーリーはありきたりだったかなぁ,という気がしなくはありません.設定自体はよくできてたし,「映画のツボ」はしっかりと押さえられているので,涙腺の弱い私はうるうる来たのですが,あとから冷徹に鑑みると新鮮さはあまり感じられなかったかなぁと.

ただ面白かったのはそれを補って余りある「ドキュメンタリー」な部分.これがストーリーの間に巧い具合にポンポン入ってくるんです.これがまたいいタイミングで編集されてたから映画全体はめっちゃ引き締まってていい感じです.
#実際2時間を越える長尺だから引き締まってるってのは重要なポイント!

出演されている素人さんのシーンはホントのインタビューって感じで,逆に演技してない部分がリアリティを生んでいた.それがとっても面白かったです.是枝監督はドキュメンタリーを中心にもともと活躍されていたというのを後で知って妙に納得.絶妙でした.特に終盤,実際に「思い出」を再現するための映画撮影のシーンがあるんだけど,そのシーンが個人的に最も印象に残ってるかな.小さい頃のダンスの発表会のシーンを選んだおばちゃんが実際に子どもに演技指導する場面や,訓練飛行の場面を選んだおじさんの「こんな感じじゃなかったですね」とスタッフにダメ出しする場面は,妙に微笑ましかったり,不思議な緊張感があったり興味深いものでした.

先ほど「ストーリー自体はありきたり」と否定的なことも書いたけど,映画の中では見事に溶け込んでいるから違和感は感じませんでした.予算の少なさを逆手に取って現実感をだしつつ強烈な透明感のある画面が象徴的でした.
#あの透明感は全くタイプの違う映画だけど「1999年の夏休み」の透明感を感じたのと同じくらい新鮮だった.

つまるところこの映画はドキュメンタリーとかフィクションとかの垣根をモノの見事に破壊,じゃないな「融合」かな,させているという点がすばらしい,ということに尽きるかなと.一筋縄ではない面白さがある映画でした.

最後に蛇足的ではありますが,あの去年の状況下でこの作品を観たんです(生きていく自信を失ってた頃ね).見終わった後に自分にとって今まで一番の思い出ってなんだったかなぁ,なんて考えました.よく考えたら楽しかった思い出ってあんまり記憶に残ってなくて… つらかったことや苦しかったことが頭に出てきたのですケド.これから楽しい思い出をいっぱい作りたい,そう考えることで逆に生きていく希望を与えてくれた,そんな映画でした.是枝監督,すばらしい作品をありがとうございました.


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1980年代の1999年 [映画]

私が小学生のころ,時代は昭和で1980年代.幼かった私は自分自身に,そして世界に素晴らしい未来があるのだと信じていた.でも,あのノストラダムスのおっさんの,1999年に例の大王が降ってくるなんて話を,信じてもないのに気にしていた.

そして時代は流れて今は1999年.時代は平成で私は社会人1年生.世界はどうなるのか見当もつかないんだけれど,やっぱり自分には素晴らしい未来はあると信じている.なんだかんだいってノストラダムスの予言はやっぱり信じてないなぁ.

さて,私はなんでこんなことを考えたのか.最近,昔の映画をビデオで観ることが多いのである.というのも会社の同期の連中が勝手にうちを映画館にしてるのだ!それで80年代に作られた1999年を描いた映画を観たのである.こういった映画を観ると,「♪あの頃の未来にボクらはたっているのかな~」などと考えて結構感慨深いものである.そこで今回は私の好きな2本の映画をご紹介したい.

一本めはアニメから…
アニメ界の機才,押井守監督が1988年に監督・制作し,89年に劇場公開された「機動警察パトレイバー the Movie」である.この作品は中学時代に友人宅で観たけど,当時は正直良く分からなかった.大体,Windows95なんかが世に出るずーっと前に制作されているのに,「OS」やら「ウイルス」やら「バグ」やら,そんな言葉がありふれているのである.今観るとはっきり言って凄い!そして恐い!!あんなことが実際に起こるとどうなっちゃうんだろう.(そもそも実際に起こりそうな気がするから余計に恐い…)懐かしい風景(正確には私はまともに東京に行ったことがないので,「懐かしい」ってのはおかしいけれど)ってのも,世紀が変わろうとしている今だからこそ余計に切なかったりする.蛇足だがその後制作された「II」の方も,ちょうど初めてのPKOが派遣された時期に公開されていたから,ものすごくリアルで恐かった.このようなファンタジーの世界のなかにあるリアルさがこの映画の凄いところだと思う.

もう一本はガメラシリーズで名を馳せた金子修介監督の作品.その名も「1999年の夏休み」.ある森の中の全寮制の高校の夏休みに起こる不思議な出来事を描いた作品である.作品に出てくる少年4人(5人?)を演じているのは少女達.強烈な透明感と永遠に続きそうな夏休みの雰囲気が印象に残る.この映画にでてくる少女には有名な女優が出ているのだが,このコラムでは名前を伏せて置こう.見終わったあとに残る,けだるさと爽快感の交じり合った不思議な感覚を味わって頂きたい.

最後に…
はっきり言うと私には映画の内容について語ることはできない.自分自身にその才能がないからである.ただ私の好きな作品を紹介するだけである.評価は皆さま自身で決めて頂ければ幸いである.


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青春映画とは何か? [映画]

大阪に来てはじめての週末,私が何をしていたのかというと,梅田に行って映画を観て,取材のためにうどんを食ってたのです.観た映画ってのが以前から観たい観たいと思いながら,徳島では観ることの出来なかった映画であり,Merlionのギタリストこきんちゃんが4回観て4回泣いた,とお薦め頂いた「がんばっていきまっしょい」であります.感想を先に簡単に言わせて頂きますと,非常に良質の青春映画でありました.恥ずかしながら,私も最後のレースシーンでは涙なしに観ることは出来ませんでした.さらに2日続けて同じ映画を観る,などということもやらかしました.

さて,先ほど私は「良質の青春映画」と書きました.では,その青春映画って何との疑問がふと頭によぎった訳なんです.はっきり申しますと私,「青春」ってのは良く分からんのです.世間一般では「高校時代」とか「大学時代」とか様々なことが言われておりますが,はたしてそんな簡単なことなんですかねぇ.中には「アイドル映画」=「青春映画」なんてくくる奴もいたりして,この辺り難しいところです(あながち間違ってるとも言いにくいところなんだが…).

じゃ,なぜそんななにも分からない「青春映画」なんて用語を使ったのかと申しますと,「がんばっていきまっしょい」にあの映画と同じ雰囲気を感じたからなんですね.あの映画とは「青春デンデケデケデケ target="_blank"」!まぁタイトルに「青春」ってことばが含まれてるんだから「青春映画」と決め付けて良いでしょう:).

この2つの映画の共通項をざざっと挙げてみると次のようなものが挙げられるでしょう.

  1. 高校時代に熱中したこと描いている.
  2. 四国が舞台.
  3. ノスタルジーに浸れる.


といったところですかね.

まず,1,2についてですが,簡単に両映画の舞台を紹介しておきましょう.「がんばっていきまっしょい」は1970年後半の四国・松山を舞台にしたボート部の女の子のお話です.一方「青春デンデケデケデケ」は1960年代後半の四国・観音寺を舞台にしたバンド少年のお話です.ま,ここまで挙げたら分かると思いますが,似てます.描かれ方は全然違うけどね.単純に3は私が観音寺出身だけに懐かしい言葉や風景がいっぱい映画に出てくるからだけと思われるかもしれんですな,こりゃ.

ここに出てくる少年少女達はいろいろな困難にぶつかりながら成長していきます.誰しもが経験したことに近い状況が描かれてる訳ね.そらノスタルジーに浸れるわなぁ.また出てくる風景がなんとものどかなもんだからなぁ….

で,ここからが本当の結論の部分なんですが,じゃ「青春映画」ってのは「昔は良かったなぁ」と懐かしむ映画なのか?となる訳ですが,これは断固としてNo!でしょう.懐かしむのはいいんですが,「あの頃は良かった」と考えるのはどーかと私は思うんですよ.この2つの映画に言えるのは「ノスタルジー」を感じさせつつ,「今を一所懸命生きること」の大切さを描いてる,ってことなんですよ.だからさ,みんな,この映画の少年少女達みたく一所懸命生きていきましょうよ.それこそが「青春」って言葉が似合うと思うなぁ.


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