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肢体不自由のある方へのAT/AACその3 [e-AT・AAC(試験対策)]

肢体不自由の方に入って3回め,今回はキーボード・マウスとも使えないときと環境制御装置(ECS)についてまとめる.

  • キーボード・マウスとも使えないとき
    • キーボード・マウスとも使えない状況について
      • 重度な四肢マヒがある場合
        高位の頚椎損傷,筋ジストロフィー,ALSなどにより重度な四肢マヒのある方で,操作をするためにはわずかな手や足の指,首,唇や舌の動き,呼吸器,まばたき,表情筋,眼球の動きを用いてスイッチを操作する,スイッチのずれなどにより誤作動が発生することが多い.
      • 不随意運動が多く四肢のコントロールが難しい場合
        脳性マヒなど不随意運動が多く四肢のコントロールが難しい場合で.大まかな腕や足の動きを用いてスイッチを操作するが,細かい動きや力のコントロールが難しい場合が多い.不随意運動によりスイッチが誤作動が発生することが多い.
    • キーボード・マウスとも使えない方のパソコンの入力方法
      • オートスキャン方式(自動走査法)
        画面上に表示されたオンスクリーンキーボード上を自動で移動するカーソルを入力すべき文字のところでスイッチを押しキーを選択する方法.重度の四肢マヒのある方が対象となるが,スイッチの入力にタイミングが必要であるため,不随意運動や緊張のある場合はステップスキャン法を用いた方が良い場合が多い.
      • ステップスキャン方式(逐次走査法・手動走査法)
        大きく分けてスイッチ2つで行なう方法とスイッチ1つで行なう方法の2種類がある.
        (1) スイッチ2つで入力する場合,一方のスイッチでオンスクリーンキーボードのカーソル移動,もう一方のスイッチでキーを選択し決定する方法,
        (2) スイッチ1つで入力を行なう場合,スイッチはオンスクリーンキーボードのカーソルの移動に使用し,目的のキーのところで一定時間止めておくことで決定を行なう方法, →ホバリング・自動選択と言われる.
        この方法だとスイッチを押す回数は増えるが,スイッチの押すタイミングは要求されないので不随意運動や緊張のある方でも入力が可能となる場合がある.
        スキャン方式のパソコン入力機器に関しては下記サイトをご参照下さい.
      • 符号化入力方式
        モールス信号のようにスイッチを操作で長短組み合わせた操作を行ない操作する方法.四肢の運動は制限されているが,細かな操作が可能な人に適する場合が多い.
        符号化方式のパソコン入力機器に関しては下記サイトをご参照下さい.
    • 操作用スイッチについて
      • 種類
        押して動作させる「プッシュスイッチ」,引いて動作させる「プルスイッチ」,接触させて動作させる「タッチスイッチ」が代表的.なお,操作スイッチには電源のいらないものと,電源が必要なものがあるので注意が必要な場合がある.
      • 固定方法
        方法は大きく分けて2種類.操作アームや柵・フレームなどに取り付ける方法と身体にテープ・ベルト・熱可塑性樹脂などを用い固定する方法である.前者の場合,場所によっては設置が難しくなるケースがあり,後者の場合,体に医療用テープなどを貼っても問題がないことを確認しなくてはならない.
        スイッチに関しては下記サイトをご参照下さい.
  • 環境制御装置(ECS:Environmantal Control System)
    • 環境制御装置について
      体にわずかに残された動きでスイッチを操作し,家電機器(テレビ・ビデオ)や呼び出し装置を操作することでQOLを高めるための機器.基本的に,本体・表示器・入力装置(スイッチ)の3つの部分に分けられる.非常に高機能なものから,機能を限定したものがあり,特にリモコンの信号を記憶することにのみ特化したものを「学習リモコン」という.また,環境制御装置により介護者の負担が軽減される点も重要である.ただし,環境制御装置は日常生活用具の給付対象とはなっていないので自費負担での購入となるため注意が必要.
    • 環境制御装置の操作方法
      • オートスキャン方式
      • ステップスキャン方式
        スイッチを用いた操作方法.上記のパソコンの入力方法の部分を参照のこと.
      • 直接選択方式
        学習リモコンを直接操作したり,各信号毎にスイッチが分けられている場合のこと.
    • 環境制御装置への接続方法,学習方法
      • 赤外線リモコンで操作する機器(テレビなど)
        環境制御装置に操作したいリモコンの赤外線信号を記憶させる.テレビに関しては問題なく使用できるが,一部のエアコンのリモコンは信号が複雑であるため記憶できない場合があるので注意が必要.
      • 100Vコンセントを操作する機器(スタンドなど)
        市販されているリレー端子に環境制御装置を接続し,電源部分に操作したい機器を接続する.
      • 有線リモコンで操作する機器(ベッドなど)
        ほとんどのベッドの場合,リモコンの改造が必要.個人的な見解だが,環境制御装置を用いてベッド操作を行なうことは,極めてリスクが高いことなのであまりお勧めしない.
    • 環境制御装置を導入する際の注意点
      使用できるチャンネル数(学習できる数や有線信号をコントロールできる数)は機器ごとに決まっているので,予め操作したい機器と機能を把握しておく必要がある.また,ベッドや暖房器具を操作する場合,危険がともなうので,しっかりスイッチが操作できてなおかつ意識が明瞭であることを確認する必要がある.なお,機器の導入後は定期的にフォローアップが必要である.
      環境制御装置に関しては下記サイトをご参照下さい.

肢体不自由に関しては一応これで終わり.次回からは重複障害に入る予定.


参考文献・サイト

  1. 福祉情報技術 II 生活を支援する技術編
    e-AT利用促進協会 監修
  2. 福祉情報技術 I 障害とテクノロジー編
    e-AT利用促進協会 監修
  3. 福祉情報技術コーディネーター認定試験
    e-AT利用促進協会 監修
  4. アダプティブテクノロジー ~コンピュータによる障害者支援技術~
    ジョゼフ・ラザーロ 著/安村通晃 監訳/島原信一・中村美代子・石田直子 訳
  5. こころWeb
    こころリソースブック編集会


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